(独)物質・材料研究機構、色素増感太陽電池の色素吸着構造を分子レベルで解明
発表日:2013.10.10
(独)物質・材料研究機構は、色素増感太陽電池の色素吸着構造を分子レベルで解明したと発表した。色素増感太陽電池は、低コストかつ高フレキシビリティーの性質を有することから次世代太陽電池の一つとして注目されているが、実用化には、更なる光電変換効率の向上が必要となっている。今回研究グループでは、色素増感太陽電池の分子/電極界面近傍で生じる特異な吸着構造の変化と光電流の関係について、高エネルギー加速器研究機構(KEK)における放射光軟X線実験で明らかにした。具体的には、X線光電子分光およびX線吸収端微細構造法を用いて、ルテニウム金属錯体色素N719の吸着構造を分析した結果、NCS-(チオシアナート配位子)がTiO2(酸化チタン)と強く相互作用していることが明らかになった。さらに、この相互作用は、D131色素(短波長領域で強い光吸収特性を示す色素)を同時に吸着させると消失することが分かった。この成果を基に最適な吸着構造を制御した結果、太陽電池の可視光領域の外部量子収率が大きくなり、太陽光照射下の光電変換効率が約0.3%向上したという。
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