23年ぶりの南極オキアミ調査~14篇の学術論文に!
発表日:2025.04.07
東京海洋大学、北海道大学、国立極地研究所らは、南極海の海洋環境と生態系の長期変化を解明し、調査研究の意義や国際的な評価に関する共同プレスリリースを発表した。今回の成果は、「南極海東インド洋区(東経80~150度)における大規模な生態系総合調査(以下「KY1804調査」)に基づくものである。KY1804調査は、同海域におけるナンキョクオキアミ(<i>Antarctic krill</i>)の生物量を対象として、1996年以来23年ぶりに実施された大規模な調査であった。2018-2019年の南半球夏季に、開洋丸(水産庁所属)を用いて「南極の海洋生物資源の保存に関する委員会(CCAMLR)」が定めた標準法に基づく調査を行った結果、ナンキョクオキアミの生物量は1996年と同程度であることが明らかになった。また、南極周極流の南限が50~120 km南下し、海水温の上昇(1996年比)が確認された。さらに、同海域の東側では大型動物プランクトンがサルパ類から端脚類に変化していることが示唆された。──KY1804調査で得られた知見は、14篇の学術論文としてまとめられ、英文学術雑誌「Progress in Oceanography」のオンライン特集号として公開された。気候・海洋生態系の変動に関する学術研究や、国際機関による活用が期待されている.