（独）日本原子力研究開発機構は、海水中のリチウム資源を回収する革新的な元素分離技術を確立したと発表した。日本では、需要が高まっているレアメタルであるリチウムを南米諸国からの100％輸入に頼っている。海外では、膨大な敷地で1年以上かけてリチウムを含む塩湖の水を自然蒸発させて資源回収しているため、今後のリチウム需要の急増に対応できず、資源不足に陥る懸念が報告されている。今回、リチウムが海水中に無尽蔵に含まれていることに着目し、イオン伝導体を用いて海水からリチウムを分離する新元素分離技術を開発した。同技術は、従来の塩湖からの回収技術に比べ、短時間、省スペース、さらにリチウム分離過程で電気等の外部エネルギー消費を要さないゼロエミッション化を目指す革新的なもの。使用済リチウムイオン電池からのリチウムリサイクル、海水の塩製造や淡水化処理時に廃棄している濃縮海水からのリチウムを含む各種有用なミネラルの効率的な回収などにも適用可能で、今後はパイロットプラント規模への拡張を目標とするという。