岡山大、コメのヒ素蓄積を抑制する輸送体遺伝子を発見
発表日:2014.10.21
岡山大学は、イネの輸送体タンパク質OsABCC1が、コメ穀粒へのヒ素の蓄積を抑制する働きがあることを明らかにしたと発表した。ヒ素は、微量でも摂取し続けると慢性毒性を生じる毒性元素。イネは他の穀物に比べヒ素を蓄積しやすい性質があり、また日本を始めアジア各国の主食でもあることから、コメからのヒ素摂取が総摂取量の多くの割合を占めており、その低減が求められている。今回発見した輸送体遺伝子は、維管束の師管に隣接する師部伴細胞を中心にイネの全身で構成的に発現するが、特に発達した維管束が集中する節において多く見られる。イネは師部伴細胞の液胞へとヒ素を隔離することで、師管を通って穀粒へと運ばれるヒ素の転流を効果的に抑制する。この働きにより、玄米中のヒ素蓄積は、OsABCC1遺伝子が壊れた変異体イネに比べて正常なイネでは13〜18分の1に減少した。今後、イネ自身が持つヒ素の蓄積を抑制する仕組みを応用することで、その働きを高め、ヒ素蓄積の少ないより安全なイネ品種の開発につながると期待されるという。