東京大学、低カドミウム米の作出に成功
発表日:2011.12.13
東京大学大学院農学生命科学研究科は、イネの体内において、カドミウムを種子(コメ)へ輸送する役割を担っている遺伝子を発見し、この遺伝子の発現を抑制することで、コメに含まれるカドミウム濃度をおよそ50%低下させることに成功したと発表した。カドミウムは、イタイイタイ病の原因物質で、人体に有害な重金属の1つである。日本人のカドミウム摂取量は世界の中でも高く、摂取量の約半分がコメに含まれるカドミウムに由来している。研究グループでは、カドミウムの少ないコメを生産できるイネの品種開発へ向けて、イネがカドミウムを種子(コメ)へ輸送する仕組みを分子レベルで理解するための研究を進めてきた。今回、イネの茎や葉の細胞膜上に存在するOsLCT1というタンパク質が、種子へのカドミウム輸送に重要な役割を果たしていることを明らかにし、このOsLCT1の遺伝子の発現を抑制することで、玄米に含まれるカドミウムを約半分に低下させることに成功した。また、同遺伝子の発現を抑制しても、イネの生長や収量には負の影響を及ぼさないこともわかり、今後、低カドミウム米品種の確立へ向けた応用が期待されるという。
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