3D都市モデルで変わる災害現場支援と除雪判断
発表日:2025.05.28
国土交通省と防災科研は、3D都市モデル「PLATEAU」を活用した防災DXの加速に向けて、新たな2つのシステム開発プロジェクトを開始した。
PLATEAUは、都市空間の3次元データを整備・公開する国土交通省の取り組みであり、防災や都市計画など多分野での利活用が進んでいる。今回のプロジェクトでは、災害対応の現場支援と豪雪地帯における除雪作業の効率化という2つの課題に焦点を当てている。
1つ目は、「被災現場支援ツール」の開発である。これは、内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)と連携し、災害救助時に救助員がPLATEAUの3Dデータを現場で参照することで、被災前の建物状況を把握できるようにするものである。AR技術を用いて、現実空間に3D都市モデルを重ね合わせ、消火栓や融雪溝などの支障物情報も表示する。
2つ目は、「除雪優先度算出システム」の開発である。これは、建物の形状や築年数、積雪荷重などの属性情報と気象データを組み合わせ、屋根雪のリスクをリアルタイムに可視化し、除雪の優先順位を科学的に算出するものである。少子高齢化による除雪人員の不足や、気候変動による湿雪の局地的豪雪といった社会的背景を踏まえ、より合理的な除雪計画の策定を支援する。
これらのシステムは、新潟県長岡市および北海道札幌市を対象地域として一部実装される予定であり、2025年6月2日に開催される「PLATEAU全国会議」にて、防災科研の研究者が開発状況を報告する。