国環研、外来ダニによるミツバチの被害を行動学的な視点から分析
発表日:2019.11.28
国立環境研究所などの研究グループは、アカリンダニ(Acarapis woodi)を払い落とそうとするミツバチの行動(グルーミング)に着目し、種によって被害の多寡が生じる要因を解明した。アカリンダニはミツバチに寄生するダニの一種で、1990年前半にヨーロッパで発見された。その後、世界中に分布拡大していることが明らかになり、2010年には日本固有種「ニホンミツバチ」への寄生が確認され、アカリンダニに起因する異常行動やコロニーの死滅などが懸念されている。同研究グループは、アカリンダニがニホンミツバチの気管に侵入しやすいこと(セイヨウミツバチ比)を突き止め(Sakamoto et al. 2016)、さらなる要因究明に向けて気管に侵入する前のミツバチのグルーミングを調査した。ヒトのまつげを楊枝の先に付けたブラシや、ミツバチを静止させるための「床暖房法」を考案し、ニホンミツバチとセイヨウミツバチにダニを付着させて一定時間観察したところ、ニホンミツバチはグルーミングを行った個体の割合や、ダニの除去率がセイヨウミツバチに比べて低いことが判明した。