農研機構、土壌炭素の増加がSDGs達成にもたらす効果を推計
発表日:2020.02.06
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、土壌炭素の増加による干ばつ被害の軽減効果を解明し、効果の発現により創出される穀物生産額を試算した。土壌炭素は、水分保持と多孔質な土壌構造の発達に寄与するため、干ばつ時にも作物が土中から水を得やすいとされている。一方で、開発途上国の農業生産の多くは雨水に依存し、常に干ばつの危険に晒されている。今回、同機構は、世界の主要穀物の収穫量と土壌データから解析を行い、1)乾燥・半乾燥地域(降水量/潜在蒸発散量<1)では、農地の土壌炭素量が多い所ほど、干ばつの被害が抑えられている、2)農地に追加で蓄えられる炭素量は48.7億トンで、平均気温の上昇を0.011℃(不確実性:0.008-0.014℃)抑制、3)干ばつ年の世界の穀物生産額は、現状に比べ16%まで増加可能と推定された。この研究成果は、農地土壌の炭素貯留が、温暖化の緩和・食料安全保障・土壌保全といった複数のSDGsの達成に寄与できることを、具体的な数値とともに示したものであるという。
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