東京農工大など、日本の森林における腐肉食動物の実態を解明
発表日:2020.03.11
東京農工大学と東京農業大学を中心とする国際共同研究チームは、日本の森林において、絶命したシカを多様な動物が採食していることを実証し、森林生態系における「腐肉」資源の増加により、動物の元来の食性が変化しつつあると指摘した。腐肉食に特化したハゲワシ類は、動物遺体の分解を通して生態系の維持などに関与しているが、顕著な腐肉食動物がいない日本では、こうした遺体消失プロセスの調査研究が十分行われていなかった。同研究チームは、2016年から2017年にかけて、栃木県内の森林内にシカの死骸を設置し、訪れる動物の様子を自動撮影カメラで記録することで、哺乳類6種、鳥類3種が腐肉を採食していることを明らかにした。哺乳類と鳥類を比べると、哺乳類のほうがシカの死骸に訪れる頻度は高く、とりわけツキノワグマとタヌキの頻度が高いことが分かり、ツキノワグマ、テン、クマタカは夏と秋の頻度に有意な差異(採食の季節性)が認められた。新たな森林生態系保全の在り方を示す知見であるという。
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