極地研など、南極大陸で多様なレジオネラ属菌を確認
発表日:2021.02.25
国立極地研究所、東京医科歯科大学、東邦大学および産業技術総合研究所などの研究チームは、南極に多様な「レジオネラ属菌」が分布していることを明らかにした。レジオネラ属菌は土壌や水のなかに広く分布しており、南極の昭和基地では浴槽水などから検出されることもあった。同研究チームは、この細菌が感染対策上、看過できないものととらえ、病原菌の網羅的な調査を実施した。第60次南極地域観測隊(2018年~2019年)において昭和基地の上水設備と南極大陸沿岸の湖沼から試料を採取し、帰国後、持ち帰った試料からDNAを抽出して、培養を介さない方法で細菌叢を解析したところ、すべての試料においてレジオネラ属菌由来のDNA配列が確認された。また、基地と湖沼のDNA配列を比較したところ、双方に共通する配列が見られた。基地でのみ検出された配列は、既知の種の配列に近いものが多かったが、湖沼でのみ検出された配列の多くは未報告の種に由来すると考えられた。レジオネラ属菌は温暖な環境で増殖しやすいと考えられてきたが、人間活動により持ち込まれた菌種の定着や、低温環境に適応した未知種の存在を示唆しているという。
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