国環研など、世界の湖沼における酸素レベルの急速低下を指摘
発表日:2021.06.03
国立環境研究所は、米国レンセラー工科大学が率いる国際研究チーム(同研究所を含む)の原著論文(掲載誌:Nature)の主要成果を紹介した。水域では溶存酸素(以下「DO」)が多様な役割を果たしている。DOの不足・欠乏は生物多様性や、栄養塩・メタンガス等の収支バランスに影響を与え、飲料水水質の悪化などにつながる。同研究チームは、世界中の海域でDO濃度低下が報告されているが、湖沼の実態に関するグローバルスケールの比較・評価は行われていなかったことから、「国際湖沼観測ネットワーク(GLEON)」を活用して、温帯域に分布する湖沼(393箇所)の長期観測データ(1980~2017年)を網羅的に収集し、表層と底層のDO濃度および水温の変化を総合的に解析した。その結果、調査対象湖沼のDO濃度は減少傾向にあり、1980年以降の減少率(表層:5.5%、底層:18.6%)は海域の報告値(全層で約2%)を上回り、急速に進行していることが分かった。一方、温暖化に伴う表層水温の上昇によって駆動された成層化・水質悪化のメカニズムや、湖沼生態系サービスへの悪影響も示唆された。水質改善対策の強化による湖沼の水温上昇抑制(貧酸素化に対する適応策)の重要性が浮かび上がってきたという。
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