農工大など、海鳥におけるプラスチック添加剤蓄積の拡散規模を解明
発表日:2021.10.11
東京農工大学など本邦の8大学・研究機関、海外10大学・研究機関からなる研究グループは、世界の海鳥の約50%が直接的または間接的にプラスチック添加剤の影響を受けていることを明らかにした。プラスチックごみによる海洋汚染や海洋生物に対する影響が懸念されている。同大学は、プラスチックの摂食率が高く、プラスチックに由来する化学物質の組織蓄積性が指摘されている「海鳥」について、<i>in vivo</i>でのプラスチック供給実験を実施し、プラスチック製品の耐久性や各種物性を向上させるために使用されている添加剤が脂肪、肝臓、尾腺(びせん)ワックスに蓄積することを解明している(Tanaka, K. et al., 2020)。今回、両極域、赤道域を含む世界16箇所に生息する海鳥32種・145個体の「尾腺ワックス」を採取し、添加剤(臭素系難燃剤と紫外線吸収剤)の分析を行った結果、半数以上(76個体、52%)の個体から添加剤が検出された。また、胃の内容物からプラスチック破片が検出された個体やプラスチック摂食の実態が報告されている種では、添加剤の蓄積濃度が高いことが判明した。餌生物を介した蓄積の可能性を取り除く解析を行い、摂食した海洋プラスチックから直接、添加剤を蓄積・濃縮している個体の割合は10~30%であったと試算している。
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