キリンなど、耐熱性PET分解酵素の実用化研究を始動
発表日:2022.01.18
キリンホールディングス(株)と静岡大学・自然科学研究機構の三者は、耐熱性PET分解酵素「PET2」の実用化研究を開始した。同社は、「プラスチックが循環し続ける社会」を目指すと宣言し、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量の50%をリサイクル樹脂にする目標を掲げている。技術開発の側面においては「ケミカルリサイクル」に関する研究開発を進め、2020年12月から三菱ケミカル(株)との間で、「化学分解法」を用いてより純度の高い(飲料容器に適した)再生用樹脂の一体的なスキーム構築に向けたプロジェクトを立ち上げている。また、「酵素分解法」についても、2019年より研究開発を本格化している。「PET2」は、メタゲノムライブラリーから見い出されたエステル分解酵素で、アミノ酸変異の導入により熱安定性と活性が向上できることが明らかになっている(Nakamura, A. et al., 2021)。今回、同社と静岡大学と自然科学研究機構は、それぞれの知見を持ち合うことで「PET2」の実用化に向けた研究開発を加速できると考え、共同研究を開始した。X線結晶構造解析や1分子観察により明らかにしたPET分解活性メカニズムをもとに、三者がそれぞれ保有する酵素改変技術やスクリーニング技術を活用することで、実用化に耐えうるPET分解酵素の獲得を目指す。PET分解に要する酵素量を低減できるため、PETリサイクルの低コスト化を図ることが可能となる。「酵素分解法」はマイルドな条件下で、少ない熱エネルギーで進行することから、環境負荷の低減効果も期待できるという。
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