東北大など、妊婦の血中鉛濃度と男児の出生割合について報告(エコチル調査)
発表日:2022.02.15
東北大学と国立環境研究所は、「妊婦の血液中の鉛濃度が高くなることと男児の出生割合が大きくなることとの関連が示された」と発表した。世界的に見ると男児の出生割合は低下傾向にあり、影響要因のひとつとして化学物質や重金属(鉛、水銀、ヒ素、カドミウム等)のばく露が指摘されている。「鉛」は流産や早産、低体重、高血圧など、ヒトの健康に悪影響をおよぼすことが知られている。しかし、「鉛」と男児の出生割合(指標:出生性比)の関連については限られた報告しか存在していなかった。両者は、エコチル調査(正式名称:子どもの健康と環境に関する全国調査)において確定した104,602組の母子データのうち85,171組を対象に疫学的解析を行った。その結果、全対象児に占める男児の割合(以下「出生性比」)は51.2%、母親(妊娠中期・末期)の血中鉛濃度の中央値は5.85 ng/gであることが分かった。また、家庭の年収や妊娠中の喫煙履歴による調整を施し、血中鉛濃度(3.88~9.14 ng/g)を区分して出生性比を算出したところ、血中鉛濃度が高まるにつれ、出生性比も48.3~53.4%となることが明らかになった。近年、有鉛ガソリンの規制などにより大気中の鉛濃度は低下しつつあり、本邦でも出生性比は低下傾向にある。一方、海外では鉛と出生性比の関連が認められないという報告があり、影響メカニズムの詳細は未解明な点が多い。父親の鉛ばく露を影響要因と見る報告もあることなどを踏まえ、今後も多角的な検証が必要であると付言している。
▲ページ先頭へ
新着情報メール配信サービス
RSS