三菱重工業（株）は、自動車等のエンジンバルブを傘（ヘッド）部分まで中空の状態で一体加工する鋳造技術を使い、軽量かつ高強度な「傘中空バルブ」の量産体制を整えたと発表した。傘中空バルブは、プレス機械だけで中空を作り出す鍛造孔開工法を用いて製造するもので、従来のような穴あけ工程を必要としないため、低コストで量産化できるとともに、最大2割の軽量化が可能となる。また、中空部分にナトリウムを封入することで熱伝導率を増大させ、冷却効率を高められるため、軽量化による摩擦損失の低減と合わせて、大幅な燃費向上が可能となり、CO2排出削減効果が期待できるという。同社は今回、同工法を（株）吉村カンパニー（名古屋市）と共同開発。今後は、傘中空バルブを自動車エンジンの高効率化に大きく寄与する差別化製品と位置付け、世界的にCO2の排出規制が高まる自動車向けを中心に、燃費向上の切り札として、2014年には月間150万本の供給を目指すという。