油脂生産用スマートセル・中間目標を達成 NEDOプロ
発表日:2022.10.04
不二製油グループ本社(株)と新潟薬科大学は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発事業(事業期間:2020~2026年度、通称:バイオものづくりプロジェクト)」の到達点を紹介した。同プロジェクトは、新たなバイオ資源の拡充や分離・精製、回収等を含むバイオ生産プロセスの開発等を行い、実生産への橋渡しを効果的に行うバイオファウンドリ基盤を整備しつつ、バイオものづくりの多様なメリット創出を図るもの。同事業の一環として、開発テーマ「脂溶性化合物生産のための油脂酵母産業用スマートセル構築」が設定されている。このテーマは、企業が主体となり、実際の産業用宿主に対して遺伝子工学技術や情報科学技術を適用し、これまで生産困難であった化合物などを生産する“新たな宿主”の開発することが基本方向となっている。両者は「油脂酵母によるパーム油代替油脂の生産プロセス」の実現に注力している。4つのボトルネック(油脂品質・油脂生産性・細胞増殖性の向上、および実用的な一貫プロセスの確立等)解消に向けて、食用油として広く普及している飽和脂肪酸・オレイン酸の発酵に特化したプロセスを中心に据えた研究開発・実証が進められてきた。スマートセル技術のコンセプトに沿って、高効率でオレイン酸を発酵(体内に蓄積)できるスマートセル株の絞り込みや、生合成経路の最適化などを行い、さらに5L発酵槽による培養試験を行った結果、6日間で培養液1L当たり98 gの油脂生産に成功した。対糖油脂収率に換算すると20%に相当し、現時点では世界トップレベルの水準であり、2026年度の最終目標(4日間で培養液1L当たり100 g、対糖油脂収率25%)に大きく近づく成果、と評価している。今回供試したスマートセル株の油脂合成効率向上等を図り、引き続き、産業用「油脂高蓄積酵母」としての実用化開発を進めていくという。
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