本邦初報告!PM2.5は妊娠糖尿病にも影響 東邦大など
発表日:2022.10.04
東邦大学、九州大学、国立環境研究所および東京都環境科学研究所の研究グループは、PM2.5と妊娠糖尿病の関連性を明らかにした。PM2.5による健康影響が懸念されている。呼吸器系の疾患に対する影響が広く知られるようになり、近年では糖尿病の危険因子である可能性も指摘されている。PM2.5にさらされると血糖値が上昇し、血糖値を下げるホルモンであるインスリンの作用が鈍化する。妊娠中の糖代謝異常も同様のメカニズムによって発症する。海外では “PM2.5は妊娠糖尿病の原因にもなり得る”という仮説が立てられ、それを裏付ける疫学研究の成果が報告されている。同研究グループは、日本における仮説の検証に向けて、東京23区の大気汚染データ(9成分)と妊婦集団データ(提供元:日本産科婦人科学会・周産期登録データベース、該当妊婦数:82,773人)の統計解析を実施した(解析対象期間:2013~2015年)。その結果、対象妊婦の4.8%(出産時平均年齢は33.7歳)が妊娠糖尿病と診断されており、妊娠初期のPM2.5全体濃度が高くなると妊娠糖尿病と診断される例が多くなる傾向が観察された。また、PM2.5成分のなかでは「有機炭素」との関連が見い出され、「オゾン」との関連は認められないといった、本邦の特徴を示すと思われる新知見が追加された。
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