ISO17584(冷媒特性)17年ぶりの改定!九大などの研究成果が貢献 NEDOプロ
発表日:2022.11.02
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、プロジェクト成果の一部がハイドロフルオロオレフィン(HFO)冷媒の国際標準化に貢献したことを報じた。冷凍・冷蔵技術とそれらを支える「冷媒」は産業やくらしに無くてはならない存在のひとつである。1930年代にクロロフルオロカーボン等のフロン類が開発され、冷凍機や空調機の作動流体として半世紀にわたり活用されてきた。しかし、フロン類が地球環境におよぼす影響が明らかになるにつれて、冷媒は目まぐるしい変遷をたどってきた。オゾン層破壊の触媒となる塩素を含まないハイドロフルオロカーボン(HFC、代替フロン)の採用が進み、現在はオゾン破壊係数のみならず、地球温暖化係数(GWP)も低く、可燃性が小さく、毒性のない冷媒の普及が求められている。こうした情勢を踏まえ、NEDOは「省エネ化・低温室効果を達成できる次世代冷媒・冷凍空調技術及び評価手法の開発(2018~2022年度)」において大学・研究機関等への委託事業を推進してきた。本成果は、委託事業の研究開発項目「中小型規模の冷凍空調機器に使用する次世代冷媒の熱物性、伝熱特性および基本サイクル性能特性の評価研究」の知見を発展させたもの。今回、九州大学、九州産業大学および佐賀大学の研究グループによって開発された低GWPハイドロフルオロオレフィン(HFO)冷媒の数学モデル(状態方程式)が、冷媒の状態方程式に関する国際規格(ISO17584)に追記された。ISO17584の改定は実に17年ぶりで、HFO冷媒の状態方程式が盛り込まれたのは標準化後初めての出来事となる。NEDO事業を通じて、3大学は熱物性測定技術や状態方程式作成のノウハウなどを培い、3つのHFO冷媒に係る状態方程式を開発している。国際規格に取得により、他のHFO冷媒や既存冷媒との混合物の性能を適切に評価できる環境が整備された。また、新規HFO冷媒などの開発や、冷凍空調機器の最適設計・性能評価が可能となることにより、将来的にHFO冷媒対応機器の普及が促進され、地球温暖化対策に大きく貢献することが期待できるという。