国際協力機構（JICA）は2022年11月30日、エジプト・アラブ共和国のAbydos Solar Power Company SAEとの間で、「コムオンボ太陽光発電事業」向けのプロジェクトファイナンス（PF: Project Finance）による融資契約に調印した。エジプトの電源構成は、火力発電が9割を占め、水力発電と再生可能エネルギー発電はそれぞれ5%を占めるに過ぎない。化石燃料依存の状況が続く中、環境負荷の低減や持続可能なエネルギー源の確保・拡大に向けて、豊富な日射量を最大限に活用した再エネシフトが喫緊の課題となっている。本事業は、エジプト南部アスワン県コムオンボにおいて、500 MWの太陽光発電所を建設・運営することにより、再生可能エネルギー発電による電力供給の増加を図り、エジプトのCO2排出量の削減による気候変動対策に寄与するもの。SDGsゴール7（エネルギーをみんなに　そしてクリーンに）、ゴール13（気候変動に具体的な対策を）、及びゴール17（パートナーシップで目標を達成しよう）への貢献が期待される。エジプトで開催されたCOP27では、世界各地で起こる異常気象による深刻な被害を背景に、各国がGHG削減のための対策の必要性を訴え、一部の先進国が支援を表明した。今回の支援は、COP27の成果を受けたJICAとして最初のGHG排出量削減に寄与する事業であり、エジプトの気候変動対策に向けたJICAとしての強いコミットメントを示すものである。また、エジプト政府が掲げたイニシアティブ「Nexus of Water, Food and Energy（NWFE）」のエネルギープログラムを構成する主要な事業となる。JICAはこれまで円借款事業や技術協力事業を通じ、様々な面からエジプトの電力セクターへの支援を行ってきた。これらの支援を土台として、民間資金を用いた再生可能エネルギー事業を後押しすることで、引き続き、エジプト電力セクターを支援するという。なお、本事業は国際金融公社（IFC）との協調融資として実施される。