国内製造は無理でも…アサヒプリテックらの「重水」リサイクル事業
発表日:2024.08.30
貴金属リサイクル事業などを展開するアサヒプリテックは、三井住友信託銀行を含む4社と共同で、「重水リサイクル事業」の拡大に向けた検討を開始する。重水(D2O、デューテリウム)は水素の同位体であり、主に原子炉の減速材や冷却材として利用されている。また、水素と物理的特性が似ているものの、質量が数倍あるというユニークな性質を持つため、さまざまな分析技術や製造プロセス、医薬品開発に応用されている。現在、重水のほとんどは、原子力発電に重水炉を採用しているカナダなどから輸入されている。日本では軽水炉が主流であるため、需要、設備投資、製造に投入するエネルギーの観点から、重水の国内製造は経済的に見合わないとされている。 アサヒプリテックらの取り組みは、産業廃棄物として処分されている使用済み重水をリサイクルするという観点に加え、核融合の燃料としての重水の将来ニーズに着目している。アサヒプリテックは、令和4年度の「地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業」(環境省)で得られた経験と特許を活用し、重水リサイクルのフロー構築に必要な技術的知見を提供する。また、重水需要の開拓における技術営業も担当する。 三井住友信託銀行は、社会実装金融の実現を目指して設置した環境・エネルギー分野の専門家集団を動かし、市場調査やプロセスのコンセプト設計を支援する。他の3社は、それぞれの得意分野を活かし、廃棄物発電による電力供給、新規需要の開拓、ラボスケールでの検討などを分担する。
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