国際農研は、令和6年9月26日にカンボジアのプノンペン市で「水田メタン排出削減プロジェクト」の発足記念式典を開催した。本プロジェクトは、日本のODAにより整備されたプルサット州ダムナック・アンピル灌漑地区を対象に、水稲の収量を維持しつつメタン排出を抑制する広域的な水管理手法と温室効果ガス削減量のモニタリング・評価手法を開発するものである。これにより、カンボジアの温室効果ガス削減目標（NDC）の達成に貢献することを目指している。 プロジェクトの研究課題は「トンレサップ湖西部水田における広域的水田水管理システムの確立による温室効果ガス排出削減技術の開発と社会実装」であり、令和6年4月から5年間実施される。日本側代表機関は国際農研、カンボジア側代表機関は王立農業大学であり、複数の日本およびカンボジアの研究機関が共同で参加している。9月26日にプロジェクト発足記念式典が開催され、カンボジア農林水産省事務総長や王立農業大学学長などが出席し、プロジェクトへの期待などに言及した。また、9月27日には国際ワークショップが開催され、アジアモンスーン地域への技術展開と国際ルールメイキングのためのネットワーク構築が期待されている。－－－カンボジアをはじめとするアジアモンスーン地域では、水田からのメタン排出が主要な温室効果ガスの排出源となっている。国際農研は、「みどりの食料システム戦略」や「グローバル・メタン・プレッジ」などを踏まえ、間断灌漑による水田メタン排出削減の普及と社会実装を目指した研究を進めていく。