PFAS汚染拡大を防げるか?キャビテーション低負荷分解技術に注目
発表日:2025.05.16
環境省は、令和7年度の低コスト・低負荷型土壌汚染対策技術として、(株)鴻池組の提案技術を選定した。対象となったのは、キャビテーションを利用してPFOS・PFOAなどの有機フッ素化合物を分解する技術である。キャビテーションとは、液体中に急激な圧力変化を加えることで気泡を発生させ、その崩壊時に生じる高温・高圧環境を利用する現象である。
PFOSおよびPFOAは、撥水剤や消火剤などに使用されてきたが、環境中で分解されにくく、蓄積性や毒性が問題視されている。これらを含む土壌や地下水の汚染は、国内外で深刻な環境課題となっており、効果的な除去技術の確立が求められている。今回の技術は、キャビテーションによって水中のPFAS(有機フッ素化合物の総称)を分解し、地下水汚染の拡大を防ぐとともに、土壌中の有害物質を除去することを目的としている。環境省は、令和7年1月から3月にかけて公募を実施し、4件の応募の中から本技術を選定した。選定は、学識経験者による検討会での審査を経て行われた。
同省は本事業を、実証段階にある技術の性能を評価・公表することで、全国的な土壌汚染対策の普及と技術開発の促進を図るもの位置づけている。