GOSAT-GWがつなぐ宇宙と地上のメタン監視ネットワーク
発表日:2025.06.23
経済産業省、環境省、JOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)、国立環境研究所は6月20日、国連環境計画(UNEP)傘下の「国際メタン排出観測所(IMEO)」と連携し、LNG(液化天然ガス)バリューチェーンにおけるメタン排出削減に向けた技術協力とデータの透明性向上に関する共同声明を発表した。この声明は、同日に東京で開催された「LNG産消会議2025」における成果文書の一つで、同会議には国際エネルギー機関(IEA)加盟国や主要LNG生産・消費国の政府・企業が参加した。
声明では、メタン排出の削減を加速するため、①プロジェクト単位での排出データの開示、②CLEAN(Coalition for LNG Emission Abatement toward Net-zero)年次報告書へのIMEOのデータ提供、③アジア太平洋地域におけるLNG施設のメタン検出技術の検証、④温室効果ガス観測衛星「GOSAT-GW」から得られるデータの活用と、IMEOの「メタン警報・対応システム(MARS: Methane Alert and Response System)」への統合が盛り込まれた。──特に注目されるのは、環境省と国立環境研究所が開発を進めるGOSAT-GW(Greenhouse gases Observing SATellite - Global and Wide)との連携である。GOSATシリーズは、日本が独自に開発してきた温室効果ガス観測衛星であり、今回の連携により、宇宙からの観測データが国際的なメタン監視・対応ネットワークに組み込まれる。これにより、排出源の特定と迅速な対応が可能となり、国際的なメタン削減努力の実効性が高まると期待される。一方、経済産業省とJOGMECは、CLEANの枠組みのもと、世界初となるプロジェクト単位でのメタン排出データの開示を支援しており、国際基準に準拠した実践的手法の開発を進めている。これらの取り組みは、気候変動対策としてのメタン排出削減を「見える化」し、政策的・技術的な対応を促進するものである。
声明では、メタン排出削減における技術革新とデータの透明性が極めて重要であると強調されており、日本のGOSAT-GWデータを活用した科学的根拠に基づく政策形成が期待される。
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