クロサンショウウオのオス、生息地の南ほど胴長に進化?!
発表日:2025.06.24
岩手大学大学院連合農学研究科(弘前大学配属)の森井氏、弘前大学大学院農学生命科学研究科の安田氏(共に現・東京大学大学院農学生命科学研究科大学院生)は、同研究科の西野教授、池田准教授とともに、「クロサンショウウオ」における性選択が緯度パターンを形成することを実証した。
クロサンショウウオは東北から中部地方にかけて分布する有尾両生類で、春先に池に集まり、メスが産卵する卵のうを巡ってオス同士が争う。本研究では、分布域全体にわたる個体を採集し、系統解析と繁殖行動の観察を実施。南の地域では繁殖期間が長く、時間当たりの繁殖個体数がオスに偏る傾向が確認された。これにより、オス同士の競争が激化し、卵のうを獲得するために有利な形質として頭胴長が長くなる方向に進化したと考えられる。形態測定の結果、オスでは緯度に応じて頭胴長が相対的に長くなる傾向が見られたが、メスにはその傾向は認められなかった。また、同一環境下での飼育実験でも、南の地域の個体は遺伝的に長い頭胴長を示したことから、この形質の緯度パターンは遺伝的に固定されている可能性が高いことが示唆された。
本研究は、性選択が環境要因と連動して形質進化を促すことを示すとともに、気候変動下での種の適応や脆弱性評価に資する知見を提供するものである(掲載誌:Ecological Monographs)。
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