Daizu-net~日米大豆品種のゲノム構造差もわかる情報基盤に
発表日:2025.07.23
農研機構は、日本の代表的な大豆品種「エンレイ」を含む複数品種について、最新のロングリードDNAシークエンサーを用いて高精度な全ゲノム情報を取得し、これらをもとに日本品種と米国品種のゲノム構造を詳細に比較した。その結果、莢(さや)のはじけにくさ、病害抵抗性、粒の大きさや形など、栽培や利用に関わる多くの遺伝子に違いがあることが明らかとなった。
同機構が独自開発した解析技術「Asm2sv」により、従来は困難だった大規模なゲノム構造変異の比較が可能となった。本研究では、当該技術を活用し、世界の大豆42品種のゲノム構造を網羅的に解析した。その結果、日本品種は米国品種と明確に異なる遺伝的特徴を持つことが判明した。こうした違いは、日本の高温多湿な気候や食文化に適応する過程で形成された可能性がある。
本成果は、大豆のゲノム・遺伝子情報を簡単に検索できるウェブデータベース「Daizu-net」の構築につながった。Daizu-netは、国内研究者の育種や基礎研究を支援するプラットフォームとして設計されており、遺伝子発現情報や品種間のオルソログ対応なども閲覧可能である。――研究を担当した農研機構 高度分析研究センターの矢野亮一上級研究員は、「大豆ゲノムは過去に全染色体が倍増した複雑な構造を持ち、従来の解析手法では対応が難しかった。今回開発したAsm2svによってこの課題に挑戦できたこと、そしてその成果が世界最高峰の科学誌に掲載されたことを非常に嬉しく思う」と述べている(掲載誌:Nature Genetics)。
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