総務省、浄化槽行政に関する勧告の改善措置状況を公表
発表日:2025.09.29
総務省・行政評価局は、浄化槽行政に関する勧告(令和6年2月)に対する環境省の改善措置状況を公表した。今回のフォローアップ(1回目)は、生活雑排水を公共用水域に直接放流する単独処理浄化槽(単独槽)が依然として全体の約半数を占め、水質汚濁や悪臭の原因となっている現状を踏まえたもの。浄化槽の老朽化による破損や漏水事例は平成26年度比で約4割増加しており、生活環境や公衆衛生への影響が懸念されている。
法的背景として、令和元年改正浄化槽法により、①特定既存単独槽の判定と除却命令、②浄化槽台帳の整備、③関係者による法定協議会の設置が制度化されたが、実施が進んでいないという課題もある。総務省はこうした状況を受け、環境省に対し、判定基準の明確化や情報管理の高度化を求めていた。
今回の改善措置では、まず判定基準を見直し、漏水が認められる場合は量にかかわらず特定既存単独槽と判定することを明確化。破損・変形や悪臭・害虫発生など周辺環境への影響項目も具体化し、定量的基準を設定した。また、浄化槽法施行規則を改正し、11条検査結果報告書に「特定既存単独槽に該当するおそれの有無」を明記することを統一ルール化(令和7年4月施行)。これにより、都道府県等の判定精度向上を図る。さらに、保守点検・清掃業者からの情報収集を強化するため、マニュアルやデジタル化事例集を公表し、情報提供に関する個人情報保護法上の取扱いを明確化。法定協議会の活用を促進し、関係者が一体となる体制構築を支援した。浄化槽台帳については、QRコードやシステム連携によるデータ突合事例を紹介し、デジタル化と交付金制度の活用を推奨している。
一方、単独槽から合併処理浄化槽への転換は年間約1万基で推移。令和7年度からは、特定既存単独槽を対象に交付金基準額を増額し、少人数高齢世帯への支援を強化する方針だ。同省は、これらの措置を通じて水質保全と悪臭防止を徹底し、浄化槽の維持管理高度化を推進する姿勢を示している。
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