京大、ヤマメの成熟年齢多様性を実河川流域で定量化
発表日:2025.10.23
京都大学の志田岳弥(理学研究科修士課程在籍当時)と佐藤拓哉(生態学研究センター准教授)は、岐阜県高原川流域においてサケ科魚類ヤマメ(Oncorhynchus masou masou)の生活史多様性を調査し、河川流域における生息地間および生息地内の成熟年齢の違いが、流域全体の「生き方の多様性」に大きく寄与していることを定量的に示した(掲載誌:Journal of Animal Ecology)
本研究では、ヤマメの成熟年齢を指標として、早熟(0〜1歳)・晩熟(2〜3歳)の傾向を調査した。下流域では水温が高く春先の餌資源が豊富で早熟個体が多く、上流域では晩熟個体が多かった。特に雌では最上流で晩熟個体が86%を占めた。一方で、最下流・最上流を除く全地点で成熟年齢に多様性が見られ、調査地内の多様性が流域全体の多様性に大きく貢献していた(雌で84%、雄で88%)。
志田氏は「生き方の多様さにムラがあり、それが変化しながら世代を重ね、目の前の渓流魚がいるのだと思う」と述べ、佐藤氏は「源流から本流までの河川流域を丸ごと相手にして、渓流魚の生きざまを研究しようという基本コンセプトで始めた」と振り返っている。本研究は河川基金(2024-5211-057)の助成を受けて実施された。
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