PM(粗大・微小)の微生物構造―都市と郊外で明確な差を確認
発表日:2025.12.22
富山大学大学院理工学研究科の劉氏と学術研究部理学系の田中教授らの研究グループは、広島大学、富山県立大学、立命館大学と共同で、富山(郊外)と横浜(都市)における粗大粒子(SPM−PM2.5)と微小粒子(PM2.5)の「化学組成」と「細菌群集」を統合解析した(掲載誌:Journal of Hazardous Materials)。
大気中の粒子状物質(PM)は多様な化学成分と微生物を含むが、地域差・粒径・化学組成が微生物群集に与える影響は十分に研究されていない。本研究では、富山(郊外)と横浜(都市)でSPM-PM2.5とPM2.5を採取し、細菌群集と48種類の化学成分を解析した。結果、PM濃度は横浜で高かったが、日本の環境基準は下回った。主要成分は水溶性無機イオンと炭素系物質で、全質量の65.6~72.4%を占めた。重金属による潜在的生態リスク(Hakanson法)は両地点で「深刻」レベルに達し、Sb(アンチモン)が最大の寄与因子であった。微生物群集は富山で植物関連菌(Methylobacterium、Sphingomonas)が優占、横浜ではヒト関連菌(Corynebacterium、Streptococcus)が優占だった。共起ネットワーク解析(co-occurrence network analysis)と冗長性解析(RDA, redundancy analysis)を導入し、群集構造のまとまり度を示す指標「モジュラリティ(modularity)」を評価したところ、横浜のPM2.5は富山の2.8倍のモジュラリティを示し、As、Pb、EC(燃焼・工業起源)が主要因、富山はFe、K、Rb(海塩・地殻起源)が主因であることが判明した。この結果は、PM中の微生物群集構成を土地利用パターンが制御している可能性を示している。
研究チームは今後、観測地域の拡大と真菌を含む解析により、健康リスク評価と早期警戒の科学基盤構築を目指すという。
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