（株）ＧＳユアサは、安全性が高く出力特性に優れるリチウムイオン電池用正極材料「リン酸バナジウムリチウム」を開発したと発表した。同社は今後、ハイブリッド電気自動車（HEV）等に向けて、この材料を用いたリチウムイオン電池の開発を進めていく予定という。リン酸バナジウムリチウムは、従来の正極材料と比べ、安全性の高いリチウムイオン電池用正極活物質として注目を集めているポリアニオン系正極材料の一種である。これまでポリアニオン系正極材料としては、リン酸鉄リチウムの実用化が進められているが、リン酸鉄リチウムは、電気抵抗が高いことや比較的製造コストが高いなどの課題があった。そこで同社は、電気抵抗が低く、充放電性能に優れるリン酸バナジウムリチウムに着目。今回、この正極材料の比較的安価な合成法を開発するとともに、同材料を用いたリチウムイオン電池で、リン酸鉄リチウムと同等の安全性を確保しつつ、それを20%上回る出力特性を得ることに成功した。