(独)理化学研究所、超低濃度のPCBを数秒で完全処理するマイクロチップを開発
発表日:2012.01.12
(独)理化学研究所は、超低濃度のポリ塩化ビフェニル(PCB)を数秒で完全処理するマイクロチップを開発したと発表した。PCBは、電気機器の絶縁油や熱交換機の熱媒体に使われていただけでなく、本来含まれるはずのない絶縁油にも、超低濃度に含まれていることが分かっており、濃度が低いと化学反応がなかなか進まないため、反応を促進する適切な触媒が必要である。今回、研究チームは、2006年に開発した触媒膜作製方法を応用し、マイクロチップ上の流路内で、高分子パラジウムナノ粒子触媒膜を作製することに成功した。この触媒膜を用いてPCBなどの有毒な芳香族有機ハロゲン化物の水素化脱ハロゲン化反応を行ったところ、PCBなどの濃度が1,000ppmの場合はチップ滞留時間2~8秒で、また10~1,000ppmの場合は8秒で終了し、ハロゲン化物質の完全な分解を実現した。同研究所では今後、このチップを多数積み上げたり流路の形状を工夫したりすることで、年間数トンレベルの処理を可能とする大規模処理装置の開発や、水素化脱ハロゲン化反応を瞬間的に進行させる化学プラントの実現が期待できるという。
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