EC(欧州委員会)の専門家グループは、ハイテク製品や日常の消費財に不可欠な主要鉱物原料が、今後不足する見通しとする報告書を発表した。報告書では、調査対象となった鉱物・金属原料41種のうち14種(アンチモン、コバルト、ガリウム、白金族金属、希土類元素、インジウム、ニオブ等)を、EUでの「危機的」リストに分類している。原料の供給源は、中国やロシア、コンゴ等、ごく少数の生産国に集中しているため供給リスクが高く、代替性とリサイクル率が低いこと、新興国が自国への供給を優先させていることも供給見通しを悪化させている。一方、原料の需要は、途上国の経済成長と新技術の発展を背景に拡大しており、2030年までに2006年の3倍を超すと予想されている。特にリチウムイオン電池や合成燃料用のコバルト、太陽光発電用のガリウム、燃料電池用のプラチナ、表示装置用のインジウムなどの需要が劇的に拡大するとみられる。こうした状況を踏まえ、専門家は問題の解決策として、重要原料リストの更新や危機評価の範囲拡大、原料や製品のリサイクル効率化の政策措置、原料の代替促進などを奨励している。