東京大学大学院総合文化研究科は、炭化水素の生産に関わるラン藻が持つ酵素のはたらきを解明したと発表した。近年、ラン藻による炭化水素の生産には、アシル(アシル輸送タンパク質)還元酵素(AAR)と、アルデヒド脱ホルミル化オキシゲナーゼ(ADO)という2つの酵素が関わることが明らかにされたが、AARの詳細なはたらきは未だ解明されていない部分があった。今回研究グループは、AARのアミノ酸配列を変えたときに、酵素のはたらきがどのように変化するのかを詳細に調査した。その結果、アミノ酸配列を変えることにより、炭化水素の生産を効率化できるだけでなく、生産される炭化水素の長さ(炭素数)を調節できることを発見した。この研究で発見した効率の高い酵素AARを用いることにより、ラン藻が生産する1)軽油に相当する炭化水素を効率的に利用することが可能となり、2)炭化水素の長さを調節(短く)することで、凝固点が低く、凍りにくいバイオ燃料の生産が期待できるという。