欧州環境庁、気候変動がアルプスの水系に及ぼす影響に警鐘
発表日:2009.09.09
欧州環境庁(EEA)は、2009年9月9日、気候変動がアルプスの水文学的なシステムに大きな脅威を及ぼすとする報告書を公表した。降水・積雪パターンや氷河の状況が変わり、下流にも影響が生じるおそれがあるという。アルプスはドナウ川、ライン川等の水源で、農業部門や観光部門の水需要の増加にも直面している。報告書では、地域・地方の官民の関係者に対し、水や土地の利用をうまく調整し、部門を越えて水資源を効率的に共有するよう呼び掛ける。気候変動への適応を成功させる要素としては技術的な手法(灌漑技術の改善、排水・家庭雑排水の再利用等)、水需要の管理(普及啓発、家庭での水消費量の削減等)、地域や地方の関係者の参加と能力開発が挙げられている。また、夏に干ばつ、冬に洪水や土砂崩れが増加し、年毎の降水量のばらつきが大きくなるという予測に加え、気候変動に関連した水資源問題について地域で適応した6件の事例研究(オーストリア、フランス等)を紹介。適応を促進・阻害する要因、成功した手法についての考察も示されている。