アジア各国からの大気汚染物質、モンスーンで成層圏に
発表日:2010.03.25
アメリカ国立大気研究センター(NCAR)の研究者らによって、アジアの大気汚染物質がモンスーンの季節に成層圏上空に漂っていることが分かった。研究成果は、2010年3月25日付のScience Express誌に掲載されている。研究者らは衛星観測の成果とコンピューターモデルによって、夏季のモンスーンの時期に、ブラックカーボンやSO2、NOxなどの大気汚染物質が地表の32~40km上空の成層圏に運ばれていることを明らかにした。モンスーンは地球上で最も強力な大気循環システムの一つで、汚染物質は、成層圏に達した後、地球の周りを数年間回っているという。また、研究成果では、中国その他の途上国の急速な工業成長により、今後十数年間で、成層圏中の汚染物質の影響は増大する可能性があると指摘された。さらに、気候変動は、アジアのモンスーンに変化をもたらす可能性があるものの、成層圏に大気汚染物質を運ぶ、垂直方向の動きを強める方向に働くのかは不明だという。