琵琶湖博物館など、実測データを用いてヨシ群落の「花粉生産量」を推定
発表日:2019.12.26
琵琶湖博物館を中心とする研究グループは、滋賀県近江八幡市にある「西の湖」でフィールド調査を行い、ヨシ群落1 haあたりの年間「花粉生産量」を推定した。「西の湖」は、琵琶湖周辺における戦後の干拓事業などを経て、残存している内湖(うちこ)のひとつで、100 haを超えるヨシ群落が広がり、ラムサール条約湿地として登録されている。同研究グループは、同地のヨシ群落に調査プロット(3 m×3 m)を複数設置し、2016年と2017年に単位面積あたりの花序(花を付けた茎や枝)の数、花序あたりの小穂(花序を構成する最小単位)の数などを直接計測した。その結果、1 haのヨシ群落で1年間に生産されている花粉は、約9兆粒と推定され、イネ科草本群落に関する既往調査報告のオーダー(1~10兆粒)と近く、スギ・ヒノキ林などの森林とも同一オーダーの値(1~数10兆粒)となった。今回の推定結果は、「イネ科花粉症」対策の基礎データとして、人間活動に伴う「草地景観」の変遷を定量的に復元する研究に役立つ地域固有データとして、国内外での活用が期待できるという。
▲ページ先頭へ
新着情報メール配信サービス
RSS