北大など、熱帯諸国の漁業における気候変動リスクの科学的根拠を提示
発表日:2020.03.17
北海道大学とデラウェア大学などの研究グループは、気候変動に伴う熱帯海域の生息分布域を予測する計算モデルを開発し、2100年までに15~40%の魚種が流出すると発表した。同大学の研究者らは、北極圏の魚類分布シフトに関する調査研究などを通じて、海水温度が上昇するにつれて、魚類は適温環境を求め、より北方の相対的な温度が低い環境に移動することを突き止めている(ID Alabia et al., 2018)。今回、2015年から2100年までの温室効果ガス排出に関する2つのシナリオを用いて、漁業の対象となる魚類779種の生息分布域を予測するコンピューターモデルを開発し、魚種数の変化を算出したところ、比較的緩やかなシナリオの場合は15%、より過酷なシナリオの場合は40%以上の魚種を失うという算定結果を得ることに成功した。現在は気候変動や魚類生息地の変化に関する直接的な記述を盛り込んだ国際漁業協定は極めて少ないことから、今後の熱帯諸国における長期的な漁業資源管理の仕組みに係る議論や、各国の政策決定プロセスに新たな知見をもたらす先駆的な成果になり得るという。
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