(独)海洋研究開発機構など、東北地方太平洋沖地震による深海の化学環境および微生物生態系の変化を発見
発表日:2012.02.17
(独)海洋研究開発機構は、高知大学、北海道大学と共同で、東北地方太平洋沖地震による深海の化学環境および微生物生態系の変化を発見したと発表した。これまでも、地震による深海環境への影響を示す現象は観測されてきたが、限られた観測項目および観測範囲であったことなどから、その影響を評価することが困難であった。今回、研究チームは、大規模な地震活動が深海環境に及ぼす影響を総合的に評価するため、東北地方太平洋沖地震の震源周辺海域で海洋調査を行った。その結果、1)深層海水が広い範囲にわたって激しく濁っていること、2)海底下から流体が湧出し深海の化学環境が著しく変化していること、3)一部の流体は海底下深部に由来すること、4)深海の微生物生態系が活発化していることを見出した。今後は、同研究で用いたセンサー付採水器による広域調査を展開することで、地震による深海底環境への影響とその変遷の解明に取り組むとともに、潜水船や無人探査機を用いた海底面のピンポイント調査を実施することで、地震活動と地球生命圏の関係性の解明等にも取り組んでいくという。