茨城高専など、新しい標識法による「海洋酸性化」影響評価実験の成果を発表
発表日:2020.05.12
茨城工業高等専門学校と東京大学大気海洋研究所などの研究グループは、放射性炭素14(14C)による標識法を安全・安価かつ汎用性の高い手法に改良し、海洋酸性化が二枚貝類の石灰化・軟体部形成へ与える影響の評価が可能であることを実証した。同研究グループは、海洋酸性化に伴う海洋生物の生理代謝への影響解明に向けて、海水中の化学トレーサー(環境動態を追跡する物質)として広く利用されている14Cを用いて、高CO2・低pH環境を再現する飼育実験を考案した。CO2分圧を高精度に制御し、大量の海水をかけ流す方式でアカガイの飼育し、「リバースラジオアイソトープ標識法」という新手法を用いて貝殻や軟体部形成に関わる炭素源の推定を行った結果、殻形成の主な炭素源は海水に溶存する炭素で、酸性化してもその寄与率は変わらないことが明らかとなった。今回の評価手法は、安全・安価で、さまざまな海洋生物の炭素源の見積や、さまざまな生物実験系における耐性評価などに応用できるという。