高知大など、黒潮域の浅海などで活用できる古水温計を開発
発表日:2021.10.12
高知大学と横浜国立大学は、浅海性底生有孔虫の一種が「過去の水温を復元する手法(古水温計)」として利用できることを実証した。海底の堆積物などから産出する「微化石」を分析することで、地層の年代はもとより過去の海洋環境などが推定できる。とりわけ有孔虫の化石(炭酸カルシウム殻)は賦存量が多く、保存状態も良いため、1950年代から酸素同位体比(δ<sup>18</sup>O)を用いた古水温計として盛んに研究されている。両大学は、その後もさまざまな古水温計が見出され、古環境変動・気候変動に関する研究成果が蓄積されつつあるが、浅海域に生息し、比較的個体数が多い有孔虫の活用に係わる検討が不十分であったことから、実習船を用いて、土佐湾の大陸棚(200 m以浅、3地点)から<i>Hanzawaia nipponica</i>の生体・化石試料(0.1~0.2 mm)および海水サンプルを採取し、それらのδ<sup>18</sup>O分析を実施した。その結果、同種のδ<sup>18</sup>O値は水深と相関していることが分かり、平均海水温の違いによる「温度依存性」を反映していることが明らかになった。さらに既存の関係式や特定の深海性底生有孔虫を用いたδ<sup>18</sup>O変動パターン(350万年前以降)と照らしたところ、<i>H. nipponica</i>が黒潮域や対馬暖流の影響を受けた海域において、精度の良い古水温計として利用できることが確認された。
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