筑波大など、「大気の川」の将来影響を解明
発表日:2022.01.18
筑波大学、気象庁気象研究所およびノースカロライナ大学からなる研究チームは、あたかも巨大な川のように、熱帯の水蒸気が組織的に中緯度地域に流れ込む現象「大気の川(AR: Atmospheric River)」の将来影響を予測した。近年、世界の中緯度地域ではARがしばしば観測されており、日本でもARを伴う記録的な豪雨が頻繁に発生している(例:平成30年7月豪雨、令和2年7月豪雨等)。こうした極端気象は、地球温暖化に伴うARの水蒸気輸送の強化を通じて増していくと考えられている。しかし、東アジア(中国、朝鮮半島、日本)におけるAR発生メカニズムや、「極端な降雨」に対するARの影響の程度は十分検証されていなかった。同研究チームは、ARを水蒸気フラックスと発生領域の長さ(1,500 km以上)によって定義し、大気大循環モデルを用いた大規模アンサンブル実験「d4PDF」を実施した。多量のシミュレーションを行った結果、温暖化時に東アジアでは「経験したことのない豪雨」が増え、それらの大部分がARを伴う豪雨イベントであることが明らかになった。また、また、特に台風の上陸が少ない春季に、ARによる豪雨が顕著に増加するおそれがあることも分かった。東アジアに限らず、世界の中緯度地域で起こりうる現象であると指摘している。ARの活動とそれによる豪雨の特性について理解を深めることで、激甚化する災害への対策に貢献できる、と述べている。
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