量研とマイクロ波化学、革新的なレアメタル精製技術の社会実装を推進
発表日:2022.01.20
量子科学技術研究開発機構とマイクロ波化学(株)は、「化学処理とマイクロ波加熱による低温精製技術(以下『低温精製技術』)」の実証試験に向けて、共同研究契約を取り交わした(締結年月日:2021年12月22日)。低温精製技術は、核融合炉の燃料であるトリチウムの生産に欠かせないベリリウム(Be)原料である難容性鉱石を溶解する工程に投入するエネルギー(CO2排出量)の削減を念頭に置き、同機構が独自に開発した技術。粉末化したベリリウム鉱石を塩基試薬に混ぜ、マイクロ波加熱により常圧下で250℃以下に加熱してから、酸溶液中において室温常圧下で全溶解を可能にしたもので、従来2,000℃までの加熱が不可欠とされていた常識を覆し、世界で初めて250℃で常圧下という低い温度での処理を実現した(2021年5月27日既報)。一方、マイクロ波化学(株)は、化学産業製造プロセスに革新を掲げ、マイクロ波技術に特化した化学系ベンチャー・研究開発型企業として実績を積み上げつつ、マイクロ波を利用した化学製品製造プラントの実用化に向けた技術実証などに取り組んでいる。両者は、熱利用製造プロセスからの脱却を図り、カーボンニュートラル化への貢献を目指すという大きな目標を共有し、低温精製技術をさまざまな産業に技術移転するとともに、商用プラントの設計に必要となる諸条件(処理量の増加に伴うスケールアップ効果、リチウム等のBe以外の金属・鉱石処理への適用性)の検証を開始する。鉱業分野のみならず、希少金属の製造・リサイクル産業への展開が期待できるという。
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