火山活動で拡大続ける「西之島」の令和4年度調査結果を公表 環境省
発表日:2022.08.02
環境省は、令和4年度西之島総合学術調査結果の概要を発表した。同島は令和元年12月以降の火山活動により、旧西之島の全てが溶岩若しくは火山灰に覆われ、溶岩による新たな大地が形成、生物相がリセットされ、原生状態の生態系の遷移が確認できる世界に類のない科学的価値を有した島となった。今回、山頂火口からおおむね1.5㎞の範囲に噴火警報が発令され上陸調査が困難なため、潜水等による周辺海域での海域生物調査を中心に行った。海洋生物調査では、計70種以上の生物が確認され、底生生物は少なくとも44種が確認された。海底の転石下にはフサゴカイの仲間やエビ・カニなどの甲殻類が令和3年よりも多く確認され、これらの生物が餌とする有機物がこの1年間で増加したと考えられる。海底の岩盤上にカイメン類やサンゴ類、大型藻類などは確認されなかったことは、同島が他の島から孤立した海洋島で、新たな生物の加入の機会と、陸域からの栄養塩の供給が乏しく、火山活動に起因する変色水域が継続していることが要因と考えられた。陸域生物調査では、同島の西部、北部、東部で、鳥類の営巣を確認したが、昨年同時期に比べ営巣数が大きく減少しており、繁殖成功率が低かったと考えられた。同省は、調査で収集したデータと試料について、各分野の専門家が詳しく解析し、同島の生態系の状況を明らかにしていくという。
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