火山島でカツオドリの栄巣・昆虫も生息(令和5年度西之島総合学術調査)
発表日:2023.10.02
環境省は、令和5年度西之島総合学術調査の成果を公表した(調査日:令和5年9月11日~20日)。西之島は、令和元年12月以降の火山活動で、生物相がリセットされ、原生状態の生態系の遷移を確認できる世界に類のない科学的価値を有した自然環境が存在している。今回の陸域調査では、鳥類については、西之島の西部、北部、東部で、カツオドリ約30ペアの営巣を確認。昨年度まで繁殖の中心だった西部の営巣数は激減した。次に節足動物は、ヤニイロハサミムシとカズキダニの一種の生息を確認。海鳥の繁殖中心地以外で新たに昆虫が確認されたことから、海鳥由来の有機物を資源として分布を拡大している可能性がある。地質については、主火口では二酸化硫黄を含む水蒸気噴煙の活発な放出が継続、地下の火道でのマグマの脱ガスが進み、放出された火山ガスと熱により山体浅部に熱水系が発達しつつあると考えられる。次に、海域調査では、周辺海域で、pHが6程度まで下がる変色水域が広がっており、これが、底生生物の定着を妨げる要因の一つとなっており、未だ生物が加入できない可能性がある。同省では、令和5年度中に、専門的見地から西之島の生態系の遷移過程の評価やモニタリングの方法等の助言を得るため、「西之島モニタリング準備会」を開催し、今後のモニタリング調査の内容を検討するという。