動物園生まれのライチョウ、野生下で繁殖 中央アルプスで環境省成果
発表日:2023.07.07
信越自然環境事務所は、令和5年度の中央アルプスにおけるライチョウの繁殖状況及び生息個体数について公表した。令和2年度から中央アルプスにおけるライチョウ個体群復活事業が本格的に開始されている。今回の調査で、那須どうぶつ王国(栃木県那須町)から野生復帰させた個体による“子育て”が確認された。令和4年8月10日に那須どうぶつ王国など2園から野生復帰のため個体がヘリコプターで移送され、同月14日までに放鳥された。令和5年度4月末以降の調査で確認された野生復帰個体は、4個体(雄1個体、雌3個体)であった。今回、これら個体の内、那須どうぶつ王国生まれの1個体の繁殖が確認された。動物園で生まれた絶滅危惧種が野生復帰を果たして繁殖に至るのは国内初とのこと。なお今回の調査では、令和5年7月3日までに中央アルプス全域で29個のなわばり数が確認された(暫定数)。「あぶれ雄」と呼ばれるなわばりを持てなかった雄を含めた全生息個体数は71個体となった。未だ確認できていない個体もいるため、最終的な生息個体数は80個体程度になる見込みとなっている。また、6月28日から中央アルプス現地におけるケージ保護事業が開始され、7月3日までに4家族計21個体の雛を保護している。同省では、今後も中央アルプス全域の生息状況調査を継続し、より正確な生息個体数の特定や野生復帰個体の生存状況の確認に努め、ケージ保護は7月末まで4家族程度の保護を継続していく予定。また、サルの追い払いや捕食者対策についてもケージ保護期間を中心に実施するとしている。