サーキュラーエコノミー過渡期の創発現象が模擬可能に!
発表日:2023.10.02
国立環境研究所・資源循環領域と東京大学大学院工学系研究科の研究チームは、サーキュラーエコノミー(循環経済)に係わる複雑な消費者行動をモデル化し、関連施策の推進に資する比較・検証ができることを実証した。サーキュラーエコノミー(CE)とは、従来の3Rに加え、製品・素材・資源の価値をより長く保全し、廃棄物を最小限化する経済システムの概念。本研究は、CEの実現を支援するツールの必要性が高まっているものの、複雑な消費者行動の動的な変化を考慮した手法が未だ確立されていないことをかんがみ、世界初のエージェントベースシミュレーション(Agent-Based Simulation; ABS)を試行したもの。ABSアプローチの実行に当たって、シェアリング、リユース、リペアなど7種類の施策からなるCE戦略を整理し、外在化(モデル化)している。ABSを実行した結果、施策導入に伴う30年間にわたる将来の環境影響(GHG排出量など)と循環性(廃棄物発生量など)を推計することに成功した。また、製品のプロモーション等によって生ずる相乗効果や、製品の不足によるボトルネック、新製品の登場に伴うリバウンド効果なども特定できた。本成果の最大の特徴は、必ずしも経済合理性に従わず、クチコミなどの社会的影響を強く受け、人によって製品の好みなどの特徴が多様な消費者行動を反映できる点であるという。CE移行を目指す施策の効果的な導入・推進につながることが期待される(掲載誌: Resources, Conservation and Recycling、DOI: https://doi.org/10.1016/j.resconrec.2023.107216)。
▲ページ先頭へ
新着情報メール配信サービス
RSS