福島第一原発事故後の除去土壌再利用、受容度は二極化
発表日:2025.11.26
長崎大学原爆後障害医療研究所は、東京電力福島第一原子力発電所事故後に発生した除去土壌の復興再生利用に対する国民の受容度を分析した(掲載誌:Progress in Disaster Science)。
政府は2011年の事故後、放射性セシウムを除去するための除染を実施し、福島県内で発生した除去土壌を中間貯蔵施設に保管している。2045年3月までに県外で最終処分する方針だが、比較的放射性セシウム濃度が低い土壌(8,000ベクレル/kg以下)は公共事業で再利用し、処分量を削減する計画である。
本研究は、2024年5月に全国47都道府県の5,257人を対象に実施した調査に基づく。結果、復興再生土の利用を「受容する」と回答したのは46.7%(2,451人)、「受容しない」は53.3%(2,806人)で、世論が二極化していることが明らかになった。福島県のみ受容群が非受容群を上回り、地域差が顕著であった。受容度に影響する要因として、復興再生土や利用の認知、事故の記憶、除染実施の認知、放射線知識が独立して作用していた。
さらに、非受容群は健康影響を最も懸念し、受容群は風評被害を懸念する傾向が確認された。ロジスティック回帰分析では、復興再生土の取り組みを知っている場合のオッズ比は2.61、事故記憶は1.85と高く、情報認知が受容に強く関連していた。