筑波大学、有機薄膜太陽電池の劣化機構を分子レベルで解明
発表日:2012.03.02
筑波大学数理物質系の丸本一弘准教授は、有機薄膜太陽電池の高効率化につながる分子レベルの新しい解析手法を、世界で初めて開発した。有機薄膜太陽電池は、現在主流の結晶シリコン系太陽電池よりも製造が簡単で低コストという特徴があるが、有機材料を用いることによる特性(光電変換効率や耐久性)の劣化という課題がある。今回の研究では、材料の内部構造を分子レベルで観察できる「電子スピン共鳴(ESR法)」に改良を加え、有機薄膜太陽電池の劣化原因となる構造欠陥の部位を測定できる「ミクロな解析測定手法」を開発。同手法による測定の結果、有機薄膜太陽電池の素子(発電を担う最小単位)の特性を低下させる原因となる電荷が、素子の正電荷(正孔)取り出し層とベンゼン環が連なったペンタセン層との界面に形成されることが分かった。この電荷形成が生じないように適切な有機材料を選択すれば、太陽電池素子の初期特性の向上が可能であることから、今後、有機薄膜太陽電池の実用化が加速することが期待されるという。なお、同成果は、(独)科学技術振興機構(JST)課題達成型基礎研究の一環によって得られたものである。
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