フランス生物多様性庁(AFB)とフランス本土の複数の国立公園グループは、国内の古森林の保全を目的に、その特徴や重要性を所有者や管理者に認識してもらうための冊子を作成した。古森林は、フランスで森林面積が過去最小になったとされる19世紀半ばを基準に、少なくともその頃から存在し人間の手が加わっていない森林を指す。国立公園のグループは、国立農学研究所(INRA)などの協力を得て森林景観の変遷を調べ、新森林と古森林の生態学的差異を分析した。古森林には特有の生態系があり、甲虫目の昆虫はフランス本土全体の半分にあたる約5000種、キノコ類は75%に当たる1万5000種が生息するという。しかしこれらは土壌の変化に弱く、移動して生き延びる能力や競争力が低い。しかも古森林は森林全体の30%に満たない貴重な生態系である。冊子は古森林の概念を定義し、古森林の重要性と保護の必要性、特定する方法、管理の注意点などをまとめたうえで、古森林の所有者を自然・歴史遺産の継承者と位置付け、貴重な生態系を攪乱しない特別な配慮を促している。