農研機構と秋田県立大学、立命館大学、和歌山県工業技術センターからなる研究チームは、日本工業規格(JIS)M 8812を使用した木質および竹炭の土壌炭素隔離の推定に関する研究成果を発表した。──気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2019年に改訂したガイドラインには、バイオ炭を鉱物土壌に添加することによって隔離される炭素を推定する方法が示されている。バイオ炭のように350℃以上の温度で加熱して作られた固形物については、3つの変数(有機炭素含有率:Fc、100年後に残るバイオ炭炭素の割合:Fperm、バイオ炭の質量)を用いて算定する必要がある。日本は2020年から、IPCCのデフォルト値を使用して、国家温室効果ガスインベントリにバイオ炭の修正を報告している。しかし、日本では伝統的に、日本工業規格(JIS)M 8812に基づいてバイオ炭の特性を評価しており、固定炭素(FC)、揮発性物質(VM)および灰分含有量を測定してきた。──このようなギャップに対応するため、本研究では、木質等のJISパラメータをIPCCの変数に変換するプロトコルを開発するとともに、熱分解温度を推定するために、VM/FCベースのべき近似式を確立し、JIS値、有機炭素含有量(Corg、%)およびFpermの線形関係から変換する方程式を導出した。──この変換プロトコルにより、多様なバイオ炭等の特性をIPCC基準に適合させることが可能となり、バイオ炭の広範な製造・施用につながることが期待される。