三重大学と名古屋大学らの研究グループは、乾燥地モンゴルにおける家畜生産と草地劣化の両立に資する最適な放牧戦略を提示した(掲載誌:Scientific Reports)。研究では、夏季のモンゴル半乾燥ステップを対象に、羊をエージェント、植生を環境としたエージェントベースモデル(ABM)を構築し、放牧パターンと家畜の代謝エネルギー摂取量の関係を解析した。
モンゴルでは放牧密度の増加が草地劣化を引き起こす可能性が懸念されており、持続的な家畜生産戦略が求められている。本研究は、羊の自由放牧と牧民による誘導の両方をモデル化したものである。空間的に不均一な植生におけるABMにより、家畜の移動と内部状態(代謝エネルギー)および外部環境(植生量・栄養価)を空間明示的にシミュレーション解析した。その結果、約8×8kmの調査地を976セルに分割し、植生量・嗜好性・栄養価を測定した上で、3種類の誘導戦略(植生量指向・嗜好性指向・栄養価指向)を比較検討することが可能となった。また、放牧密度を実際の家畜数の0.5倍、1.0倍、2.0倍に設定し、夏季2か月間の代謝エネルギー摂取量を推定したところ、自由放牧よりも牧民が羊を最も植生量の多い場所に誘導する戦略で摂取エネルギーが最大化され、放牧密度が2倍でも空間的分散が維持されることが確認された。
研究グループは、過放牧を回避しつつ家畜生産を高めるためには、牧民による選択的誘導が有効であると指摘している。本研究は、乾燥地における持続的放牧管理の科学的基盤を提供するものであり、今後の国際的な草地管理政策にも示唆を与えるという。
| 情報源 |
名古屋大学 研究成果発信サイト
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|---|---|
| 機関 | 三重大学 名古屋大学 |
| 分野 |
自然環境 |
| キーワード | 乾燥地 | 放牧管理 | エージェントベースモデル | 家畜生産 | 草地劣化 | 代謝エネルギー | 植生量 | 嗜好性 | 栄養価 | 持続可能な放牧 |
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